カメムシの話④
自然死する大概の虫は、畳んだ三脚のように脚をひとつにまとめ、その脚を天に向けて、つまり仰向けで死んでいる。
蜂も、蝉も、蜘蛛もそう。カメムシもそうである。蝶は背中の面積が狭くて仰向けにはならない、横向きだが脚の恰好は同じ。百足も多分例外ではない。
民家で越冬したカメムシ達は春にはまた山に帰るのか。帰るのもいるかもしれないが、ときどき本の頁の間に死んだカメムシを見つける。春遅く窓の目張りを取るとき、かまちにある呆れるほど沢山のカメムシの死骸はなんだろう。狭い隙間を入ってきたのだから出ていけないはずはないのに、天を仰いで死んでいる。
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