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2010年9月29日 (水)

貧しき心で生きていく

 雨の降る夕闇の中、路肩に逃げた小動物は猫であった。桂と上野新の通称おおざか、そこを上り切った辺り。車のライトに照らされた姿はまだ子猫、いかにも痩せて機敏さもない。トカゲとかバッタとか食べたとしても、いずれは餓死か、車に轢かれてペッシャンコ。そう思ってブレーキを踏みかけたが、捕まえられるはずもない。私の家なら二匹も三匹も同じ。作業所に置いて何食わぬ顔をしていればTが面倒見るだろう。私も毎日残飯を出そう。ここよりどんなにましかと思ったのである。桃川峠で見る猫はそのうち路上に転がるのが常だった。ボロクズのように、あるいは一塊の肉となり。葬式がないだけましだと私は思う。また、捨てた人に既に当たっている大きな、大き過ぎるバチについても。
 兄が死んで、正気の母ならどんなに泣いたことだろう。限られた認識と感受性、あるいは想像力は猫を捨てる人のそれに似ている。

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