Sさんの
部屋の隅に「五百川薬師大護摩祈祷之札」が画鋲で留められ下がっている。2005年、粟ケ岳の山開きの5月5日に貰ったものである。我々の車が登山口のある集落に着いた時は既に行事は終わっていて、道には登山口に向かう人が溢れていたが、ここの山開きに何度も来たことのあるIさんとSさんがこの札を人数分貰ってきてくれたのだ。思えばSさんとはこの時二回目の登山。前年の九月、以東岳に行ったのが最初で、この後、杁差岳、朝日岳と登るうちに出来た山仲間の山行に、Sさんはほぼ皆勤の成績だった。それが 一昨年の病気以来参加できなくなり、いつもいるはずの人がいない、どこか寂しい山行が続いている。還暦を迎えたばかり、健康が許せば70を過ぎても続けられる登山なのだから、ずっと彼の人懐こい顔を見ていられるつもりでいたが、それがわずか四年ばかりだったかと年月を数えて思っている。ずっと、と願っても、ずっと、というわけにはいかない。山に限らず、人生そのものも。だから、今を大切にすること。彼が戻ってきてくれる日のあらんことを心から祈念するのである。
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