歩くヒメサユリ
母を送り出して、そして迎えるまでの間、近くの山、櫛形山脈の一角、鳥坂山に登る。日本一小さい山脈は縦走するのに五、六時間、以前ひとりで行って、車に戻るために往復したこともあるが、眺望二流、ブナ林二流で最近足が向いていなかった。しかし、この山にヒメサユリが咲くことは知らなくて、予報は芳しくなかったが、花なら多少の雨でもと降られるつもりで遅い出発。記憶どおりヒメシャガは咲いていたが多くはなく、思いがけずKさんがギンランを見つけた。ユメサユリはまだほとんどは蕾であったが、咲いて迎えてくれたのもある。昼食をとって帰ろうとすると、縦走してきたパーティの中にK氏がいらした。K氏は「中条山の会」の会長で「山の遊学道」の著者、一昨年風倉でお会いした時も車で送ってもらいお世話になっている。ヒメサユリが咲いていると知って来たというと胎内市のホームページに載っている写真を撮ったのはご本人だそうだ。多方面での活躍だと敬服するが、それを支えているのは日ごろのトレーニング。殊に毎日1時間のランニングは真似できない。
帰ってしばらくすると雨が降ってきた。雨には合わず、ヒメシャガにもギンランにもヒメサユリにもK氏にも会えた。そして何より可憐な三つの歩く(饒舌な)ヒメサユリと同行できたこと。
不幸が続くと、小さな、些細な幸運を幸運とも感じられなくなる。小さな些細な幸運を大喜びするような心は大事。
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コメント
いつもお世話になっています。渡辺伸栄です。安久さんのHPをちょくちょく見せてもらっていましたが、自分でも立ち上げたくなって、やってみました。私の山は、高尚さに欠けるとしみじみ思っていますが、山にしろ川にしろ庭にしろなんにしろ、残った人生、とにかく能天気に楽しく行きたいと思っています。洗練された安久さんのページから見ると素人くさいぺーじですが、ぜひ、いちどご覧になってください。6月の粟ヶ岳楽しみにしています。よろしくお願いします。今週末は光兎山、その次は金北山、次が粟、7月は飯豊縦走とワクワクする予定が続いています。
投稿: 渡辺伸栄 | 2011年6月 1日 (水) 18時04分
「残った人生、とにかく楽しく能天気に行きたいと思っています」に解脱の境地を感じます。仄聞しただけですが、先生のこれまでも重ねて意味深長だと。七月の飯豊縦走はいいですね。阿賀北に生を受けたら何度行っても生まれた甲斐のあること。命短し恋せよ乙女です。天候に恵まれることお祈りいたします。先生のホームページのアドレスを教えてください。
投稿: 安久昭男 | 2011年6月 1日 (水) 22時38分
ホームページ開けました。でもメール送信には失敗しました。
投稿: 安久昭男 | 2011年6月 1日 (水) 22時54分
渡辺です。何か、場にそぐわないことを書いてしまったみたいで、気後れしていましたが、相手にしてもらえてほっとしています。
ホームページを見てもらって、ありがたいです。ここまで作ってから、テーマを何にしようか考えています。「関川村で一生を送る幸せは、自分で作る」ということかななどと。いつも、走ってから考えるくせが抜けません。
光兎山のヒメサユリは、つぼみでも、きれいでした。「つぼみよつぼみ、いつまでも、つぼみのままでいておくれ。」これは、本心です。粟ヶ岳は完熟のヒメサユリが見れそうですね。よろしくお願いします。
投稿: 渡辺伸栄 | 2011年6月 7日 (火) 22時11分