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2011年5月12日 (木)

手振りはしない

 学校を出てからはある意味自分の凡庸さだけを確認してきた。それでも、凡庸な人間だからこそ書けるものがあると思ってきたが、書かなくなればつまらぬ矜持だけ残る。それが凡庸な人間を更につまらなくして身の置き所もないようだ。
 ここに来て、もう何年も走っていてようやく、練習の成果のようなものを記録として感じるようなことがあった。それは堤防の10㌔の記録で、先般新記録を出したことは報告したと思うが、その後もその記録にこそは届かなかったが、46分台で、この46分台というのは今まで三回位しか出たことがなく、それがさして調子が良かったというわけでもないのに、さらっとあっけなく出たのに驚きながらも練習の成果みたいなものを思ったのである。さらっとあっけなく、この感じは例えば英会話の勉強を長く続けていて、ある日ふと会った外人に対してハローと躊躇なく言えた感じだと思う。そんな経験もないし、したいとも思わないが、喩えとして。
 英語といえば思い出したことがある。学生の時、六年以上もガードマンのバイトをしていたのだが、新宿のデパートの、夜警というか、夕方の六時から朝の10時までの勤務。その中に立哨みたいな仕事もあって、ある時外人に道を訊かれ、僕も最高学府に通う者としてゴーストレイト、アンドターンツーザライトみたいな英語を淀みなく話したわけだけれど、その男何度も何度も聞いてきて僕も何度も何度も教えていると、だんだん怒ってきて、つまり僕はターンツーザライトと言っているのに手振りは左を曲がるようにしているといって大変怒っているのであった。外人というのは怖いと思って、それからはなるべく手振りはしないことにしていた。

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