夢十夜の第八夜か
谷川岳と武尊に登る。観光道やロープウェイを利用して短時間で登れる休日の百名山は、山が潰れるほど人が登る。流行っている店のように登山道には行列ができ、頂上の標柱での記念写真は順番待ちなのである。人間はやっばり高い所が好きなんだろうか。すぐ傍には日本で最も死者の多い一ノ倉の崖があるが、大半はハイキングと変わらぬ恰好で、万一天候が急変すれば命に関わる事態を招きそうだ。けれども、私も彼らより上に登るわけではない。自分が何ほどの者かと思えば、こういう現象もまた面白い。漱石の「夢十夜」に、山の頂に登ると数珠つながりになった豚が押し寄せてきて、自分を崖から落とそうとするので、ステッキで豚を叩いて崖に落としてやるけれども、豚の列は果てしもなくて、ステッキを振るう手がくたくたになる、という話があった。
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