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2011年10月25日 (火)

睡眠時間

 会話の中の言葉をずっと覚えている。例えば睡眠時間についてなら「五時間寝ると楽ですね」と言ったのは、学生の時バイトでしていた夜警。デパートの夜警を六年半続けたが、この仮眠時間は四時間で、正味三時間半だろうか。ある時、郊外での催し物の夜警をすることになって、この時の仮眠時間が五時間あった。それで一緒に泊まった上司に言った言葉。バイトの翌日はいずれかの時間に(授業中は特に)眠くなるが、五時間眠れば頭もすっきりして眠気無く一日を過ごせる、そういう意味合いだったと思う。
 インテリなら10時間は寝たいとも言ってきた。実際10時間も寝ると頭が痛くなるが、頭を使う人間なら睡眠時間はたっぷり欲しい。和光市のアパートで、同宿のT大に行っていた男が「10時間は寝たい」と言っていたのをなぜか覚えていて、多分僕もそう思ったか、10時間寝られる彼の呑気な生活を羨んだり、その逆に思ったかしたのだろう。彼は特に頭の使うような人間でなかったので、まあ睡眠は楽しと云うことだろう。流行りの芸能人がよく平均睡眠時間三時間なんて言うけれど、これは頭の要らない仕事をしている証拠なんだろう。人形に似たりで、実は毎日24時間寝ている。
 4当5落と云われた受験戦争もあったそうだが、「この頃5時間でいいようになった」と浪人の時Kに言ったのを覚えている。Kというのは一緒に和光市のアパートで浪人生活を始めた高校の同級生。三四ヶ月で僕は近くのアパートに移ったが、一週間に一度はSさんのアパートに集まっていた。けれどこの五時間という睡眠時間が長く続いたわけでなく、浪人生活が長引けば分かることだが、睡眠時間を削らなくても時間はたっぷりある。試験が近付いてきて、今までより勉強するようではだめだということ。
 
 これは以前書いたが、東武東上線の朝の通勤時、その年の春から勤め始めたような連中が何時間寝るか話題にしていた。ひとりが七時間位と言うと「七時間も寝たら頭腐れないか」と言うやつがいて、顔を見るとやはり頭を使ったことのない顔をしていた。浪人の時私はこういう人を「人生の覇者」としていた。世界は単純でいい。
 僕が高校の頃ミシンの内職を始めた母の睡眠時間は三時間とか四時間だったろう。階下のミシンの音は寝る時も止まなかったし、まだ暗いうちからし始めた。多分そのお蔭で浪人もできたし留年もできた。
 以前父は眠ることが一番楽で楽しいみたいなことを言っていた。張り合いの無い、他に楽しみの無い生活だからで、夏なら七時を回れば、冬なら五時過ぎには床に就く。けれどずっと眠っているわけでなくて、夜中になれば眠れないまま本を開いているようだった。この頃は悪い夢ばかりを見ると言い、薬を飲んでいる。
 晩酌をやめたせいかもしれないが、日の短くなったこの頃でも七時頃まで母の部屋にいる。
 いくらでも寝られる生活よりは、そうでない生活の方が良いということかもしれない。

 

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