二百の岩魚
どんなふうにも生きれたと思ったり なるようになっただけと思ったり
結局 どう考えれば 諦めがつくかということらしい
せめて争わないで生きたいと思えば 人と離れて生きるしかない
焼かれるのも腐るのも嫌だと思えば
今年の夏の梶川の尾根や 二ツ石から狐穴に続く尾根の暑かったこと
それも幻 けれどもまたいつか会いましょう そういつも私らは言う そういつも笑って言う
出合の沢から三時間の急坂を登ってきた男は 一日平均百の岩魚が釣れるとやや興奮気味に私に話した
天狗角取山の頂で 私はただ二日で二百のその岩魚をどうしたのかと思ったけれど 聞く機会なく山を下った 全部食べたならもっとすごいと思いながら
岩魚もまた焼かれたり腐ったりだ
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