イワウチワ
朝食を作って片付けて、少し遅くなったが光兎山なら大丈夫だ。千刈口から入って雷の手前でW先生一行とお会いした。両H先生にお会いするのは久しぶりのはずだが、W先生のブログで拝見しているのでそんな感じはしない。雪の上に犬の足跡を見つけ、もしやと思ったが、やはりブログに載っていたH先生の愛犬も一緒であった。さっきのヘリコプターが話題になって、光兎からカンニャ越えして頭巾に向かおうとした人が滑落したのではというような推測に落ち着いた(実際は頂上を下り始めた直後の滑落だと夜のニュースで知る※やはりカンニャ越えして頭巾を目指した人だったと今朝の新聞に書いていたとYが教えてくれた)。H先生が私も頭巾の方に行くのかとザックに括り付けたピッケルを見つけて言うので、いや藤沢川の林道に繋がる尾根で下ってみようかと思ってと、これで形だけでもそっちの方に行かないといけなくなった。雷峰から見ると尾根の雪はだいぶ消えているし崩落している場所も見えるが。頂に11:20着、地図と見比べて尾根を探す。大体の目論見で下り始めたが最初から藪漕ぎ、アイゼンを履きピッケルを出して雪の斜面を進んだが、すぐそれも藪に阻まれる。そうして密藪を二つ三つと越えた辺りで断念、尾根に雪のある方が少ないと高みに出て分かったからだ。登り返す途中で、兎の雪形を間近で見た。まだ耳の辺りは完成してしていないが、天に駈けあがろうと体を伸ばす下半身、腰や尻、そして後脚は確かに麓で見る形になっていた。そして誰もいなくなった頂上でゆっくり休む。朝日連峰、飯豊連峰、飯豊の奥に見えるのは吾妻連峰だろうか、ゆっくり眺めて、つくづく良い山だと思った。山に登り始めの頃「日帰り一級の山」と名付けたが「日帰り特級」でも良い。下山は余計な下り登りでエネルギーと気力を使ったせいか、イワウチワの詩を作るのが精一杯だった。
(写真左の尾根伝いに下りようとしたが、わずかで撤退。H先生の愛犬は三人の先頭を歩いていた。リーダーのような心持ちでいるのかもしれない)
光兎に咲くイワウチワを見ればどんな悲しみも忘れる
所詮死んでしまえば失せる人の世の悲しみだと
虚空蔵の手前から観音峰の先まで
薄桃色の やや俯いて 透き通るような花弁
たとえ極楽浄土でもこんなに美しいものはないから
雪の溶けるのを待って一斉に咲く
それを待って煩悩の人達がここに登る
そして少しだけ、二割くらい今ある幸せを膨らませて帰って行くのを本人も知らないけれど
虚空蔵の手前から観音峰の先まで
光兎に咲くイワウチワを見れば悲しみをすこし忘れる
| 固定リンク
「雲の湧く稜線に」カテゴリの記事
- 鳥海山鳥海湖(2020.06.22)
- 六月の光兎は(下見と公民館登山6/6と)(2020.06.14)
- 日本平山 4/25(2020.04.29)
- 残雪の葡萄鼻(2020.03.31)
- 3/15 光兎山 (2020.03.17)
コメント