登山靴
僕はただ 生きていることを 伝えるだけだ 生きていることは以前にも書いたが サルトリイバラにスウェターで 密藪をセーターで登ることだ 記憶とか希望とか絆とか いろんなものにがんじがらめになって 右手を外せば左手が引っ掛かるような 観念して上を向いても空は見えない どこにいるのかは分からないが 生きていることを古い友達に伝えるためだけにこうして毎日駄文を書くのだ
たった今見ていた夢 僕はガードマンで、小さな四角いコンクリートの建物の中にいて、そこには大きな四角い機械が入っているので通路はとても狭いのだが、点検に来た業者二人組にどういう所を点検しているのか教えてほしいと頼む 快く彼等は承知して点検しながら説明を始めたが 彼等の驚きの声からしてそれは珍しい不備のようで 何かが欠損しているらしく、それを修理しようとして ガスバーナーのようなものを使い始める すると傍の消火器のようなものに引火する 二人のうち 補助的な役目をしている男がそれを外に放り出すと、主たる仕事をしているリーダーらしい男があっ、やめろと言うけれども間に合わず 外で更に勢いよく燃える そして爆発する 結果的に補助的な男の判断が正しかったわけだけれど 二人の間に そんな会話はない 寝転がって足を前にやって その足で燃え盛るものから来る熱を避けようとしていたので 爆発した時に靴の裏に火が付いてしまって 慌てて立ちあがって地団駄を踏むようにして火を消すが、靴の裏は少し溶けて柔らかくなってしまう 外を通りかかった十人位の団体が燃えて爆発したものを囲んで見ていたが それは靴に替わっていて その靴の中の水が沸騰している 僕の焼けた靴はスカルパだ こっちに戻ってきて買った二足目の靴 もうだいぶ底が減っているので そして防水力も落ちているので 長期の山行には履けないけれど ぴったりなので大事にしている もう二度も靴底を張り替えたので 今度張り替えようとしても 靴そのものが傷んでいるので もう無理かなと思っている 靴は七八足になった 東京にいる時に買った重登山靴ももう決して履かないけれど捨てない 僕と荷物を支えてくれた靴だし いろんな山に一緒に行った靴だし 捨てられない だから少しずつ増えていく だから夢の中でスカルパの靴の底が燃えても 捨てようとは思わなかった
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