戸隠連峰高妻山
新潟の一番下の隅には百名山が固まっている。妙高、火打、雨飾。もし百名山という選定が深田という個人でなく団体に拠るものだったら、ひとつの県の片隅から三つも選ぶなんてことはしなかったろう。ああだこうだ言い合って、結果選択に個性はなくなる。雨飾という名前の響きが良い、なんて理由は端から問題外になっただろう。
その固まったどの山に登っても長野の方、南側を塞ぐように見えるのが、高妻山だ。これも百名山で、つまり四つ固まっている。天気のせいか位置関係か、あるいは時間が悪いのか、高妻山がきれいに見えたことはなく、いつも黒々と陰鬱に聳えて雲の中に見え隠れする、そんな暗い印象があるのは、ガイドブックのせいもあった。僕の持っている本では、ガスの中に樹林に被われた山肌を見せる写真や岩場のトラバースの写真で、行程9時間、眺望は悪そうだし危なそうだし、時間も掛かるとなれば候補には挙がらない。少なくとも関川からの日帰りは無理、会の山行も参加者が限られると思って敬遠していた。
今回は三連休の初日は仕事で、その後二日間は天気が良さそうだしと、当然あまり期待せず前泊で行くことにした。ところが、天気の御蔭もあるだろうけど、バリエーションに富んだ登山道、眺望、山容、歴史的宗教的雰囲気、どれをとっても一級、至極良い山だった。それに前泊なら確かに余裕だ。麓の戸隠キャンプ場も広大で美しくすばらしい。蕎麦も美味しい。馬もいる。牛もいる。熊の鳴き声もする。
そして、これは是っ非山仲間に報告しなければならないだろうと思ったのは、今まで一度足を踏み入れなかったこの地域、長野県北部の新潟県に近い地域が山愛好者にとっては頗る魅力ある所だということだ。つまり、高妻山を含む戸隠連峰、飯綱高原、黒姫高原、斑尾高原と集まっている。うち、黒姫山、戸隠山、飯綱山は200名山だ(200名山を馬鹿にする勿れ、我が杁差岳、そして二王子岳も200名山だ)。つまりこの地域に足を運べばよりどりみどりのうつみみどりなのである。山登りに飽きれば野尻湖で本物のマンモスの歯に納得いくまで触ることもできる。
①沢伝いに稜線に出ると目指す高妻山が雄姿を見せる。
②最後の一時間が急坂。ズボンを締め直す。
③4時間半で頂上。左下は戸隠山、谷沿いに白くなった後ろ立山連峰も良く見えた。
④妙高を入れれば雨飾が入らず。
⑤雨飾を入れれば妙高が入らず。
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