春先のカメムシ
春先になるとカメムシが部屋の中を飛び回る。狭い隙間から入ってきたのだからまた狭い隙間から出ていけないものかといつも思う。
越冬のために窓の隙間から部屋に入ってきた時は、部屋の中が暖かくて広くて、それが全く意想外で、桃源郷でも見つけたつもりで喜んで飛び回っているところを僕に捕まえられる。今度は春になって気温が上がって、そろそろ活動の時期だと感じてどこかしら狭い所に潜んでいたのが飛び回るのだろうけれど、どうして素直に外に出ないのかと飛び回るやつを捕えながら思うのである。
けれどもよくよく考えてみれば、入ってくる時は目標があったのだ。狭い所に潜りこんで冬を越すという明らかな意識。結果的に別天地を見つけて越冬どころではなくなるけれど。春は、どうもなんだか暖かくなってきたぞと、もぞもぞと動き始めて、もし部屋が寒くて、外が暖かいという確かな温度差があれば、狭い窓の隙間を通って外に出るのだろうけれど、部屋の中も暖かいから目標を見つけられず無暗に部屋の中を飛び回る。
桃源郷を見つけて喜ぶのは仕方ないが、目標を見つけられず安逸を貪るのは寂しい。
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