夏の山
暑い日が続いた今年の夏だったが、山の方はむしろ晴れた山域は少なくて、最も日数を要するはずだった縦走、高瀬ダムから入り、雲ノ平へ寄って、新穂高へ下る計画は二度とも実行できなかった。これは大げさに言えばモスクワに出られなかった瀬古の心情だ。
好意を寄せる人を校舎の窓で待つ心持ちが我々の六月、青い空と白い雲の下に伸びる稜線、花は風になびいて、それを想うにつけ胸の辺りが酸っぱくなるような感傷に咽ぶ。けれど天気も人事もままならず、ようやく来た夏はそっけなく去っていく。
思い描いた縦走は叶わなかったがそれでも、三十数年振りに甲武信に、そして甲斐駒、別山と、登りたかった山に登ることができた。夏は来ぬ。そして去ぬ。
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