東根マラソンのその前後の話②
東根のマラソンの記録は例年低調で一番良くて39分、フンキュウした一昨年を例外としても47分という年もあった。今回は練習がままならず、直前1週間は全く走らなかった。マラソンの神様がいたらまた下痢の罰を下し、甘受しなければならないところだ。結果は1時間43分14秒。記録を諦めていたので、初めて沿道で支給されるさくらんぼを食べた。たった二個だったが、とてもおいしかった。昨日腹いっぱい食べたものとは種類が違うのだろう、とてもとても甘くて、引き返してもっと食べようかと思ったくらい。
綿野舞さんは自己新を叩き出した。練習の成果、精進の賜、頭が下がる思いである。高橋さんは順調にラップを刻んでいたが、ラスト3㌔を過ぎた辺りで突然膝が痛くなり、よろよろと走るのがやっとだったと言う。ゴール間近で僕が見た時も、他のランナーと一見して違う走りで、いつかのオリンピックで、脱水症になり右に左によろけながらもゴールした女子選手を想起させる姿であった。それでも制限時間をクリアーしてゴールしたから大したものだ。
その日の宿は舟形町あゆっこ村のコテージ。翌日登る予定の寒河江葉山に近い場所を選んだが、高い山の予報は悪く、南下して山形県三つ目の葉山、上山葉山にした。
三吉山から葉山へと登る。上山を通る時は一番目につく三角の山が三吉山、新潟古町は三吉ラーメンである。登山口にはニッコウキスゲが植栽されていて美しい。
岩海と呼ばれる場所
三吉山頂上。鐘があれば突いてみる。
裏に行ければ行ってみる。上山市街が一望できる。
三吉山から30分で葉山。
ここで昼食、のち下山。
エピローグ----花筏(はないかだ)の話。
ハナイカダはとても変わった花で、葉の中心に花を付け、それが実となります。図鑑で見て変わった木だと思ったのは随分昔のこと。それからある人の庭で図鑑で見た通りに実を付けている様を見て感動したのも昔のことです。山で初めて見たのは一昨年の岩手山、そしてその一週間後の米山が二度目です。その2回限りでしかなかったのですが、綿野舞さんはなぜかこの日、三吉山に登ろうという時にハナイカダを見つけた者はアイスクリーム1個と宣言したのです。今までたった2度2木しか出会えなかった木のことをなぜ急に思い出したかは不明で不思議なことです。ありっこないし、ただの気紛れだから本人もずぐ忘れかけただろう頃、なんと先頭を歩いていた綿野舞さんの奥さんが見つけたのです。たった一本、2個の花だけでしたが、紛れもなくハナイカダ。葉を顔に寄せじっと見つめていた綿野舞さんも間違いないと断定しました。その時の彼の気持ちは分かりません。下山時、たった一本のはずはない、良く探せばもっとあるはずだと言い出したのも綿野舞さんでした。なぜハナイカダに拘るのか、それもまた分かりません。そして、奥さんが見つけた水場の前辺りに来た時、突然綿野舞さんが「よっしゃ!ついに見つけたぞ!」と叫んだのです。「よっしゃあ」と言ったのか「よし」と言ったのかはっきり覚えていませんが、興奮してうわずったような、雄叫びというべき大声でした。彼の指差す先には確かにハナイタガの花が一つ、蜘蛛の巣がまとわりついてこ汚い花でしたが、ハナイカダはハナイカダです。でもここら辺は奥さんが見つけた辺りではと周りを見ると、すぐ下にひとつ、もうひとつ。これは紛れもなく奥さんが見つけたのと同じ木であって、主人はその時はこ汚くて目立たなかった残りの花を発見して山中に響き渡るような雄叫びを上げてしまったという、とんだ茶番を演じてしまったのです。そうと知って、意気消沈と苦笑いがごっちゃになったのか、涙を流して笑っていましたが、万が一雄叫びを上げるような場合はよほど注意しなさいという他山の石というべきでしょう。頂上手前を頂上と勘違いして万歳をしてしまった、そんな状況に似ています。思うに、ハナイカダを見つけようと意気込んだのに、それを見つけたのがハナイカダもろくに知らない奥さんだったのが面白くなかったのかもしれません。それが岩海も崩れんばかりのあの雄叫びとなったのかもしれません。
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