« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »

2019年9月

2019年9月23日 (月)

ジャカルタ、マニラ

 ドームの燕の話は以前しただろうか。海を越えて何千里も飛んできた燕がドームの中に入って出られなくなり、チェンチェンと鳴き続けながら、疲れ果て餓死してしまう話。天井に張られた網の中に一旦入ってしまえば、自力でも他力でも出られない、ただ死を待つだけの残酷な運命が待っている。ここで生まれて南に帰るはずの子もまたそういう運命となって死んでいく。ジャカルタの市街の上空を飛ぶ夢、力尽きて網の上に落ちた死骸を周回毎に見上げながら、何もしなかった私は、ただアクエリアスだけを飲む。がぶ飲みするだけだ。

| | コメント (0)

僅かな安逸

  泊りでない限り父の夕食を出すために仕事先から真っ先に帰らなければならなくなった話は以前した。夜クライミングやバドミントンがあるときは作る時間がないのでコンビニで弁当を買って帰る。先ず最初の関門は一旦家に戻ると、ランニングのためにまた出かけるのが億劫になること。もう一つは自分も夕食をついつい食べてしまうこと。満腹になると出かけるのも走るのも更に億劫になる。こんな感じで、七月八月はほとんど走らず、九月になってなんとか走り始めたが、サボった期間が長いのでなかなか本調子にならなかった。それでも4日から始めて昨日まで走らなかった日は3日間、くたびれて10キロも走れない日もあるけれども、我慢して走れば段々と、そして突然調子は上がってくることを経験で知っているので続けている。8時頃だとスポ少の活動はしていても走っている人はあまりいない。9時を回ると私一人になって、寝る前の薬を飲ませるために着替えもせず家に帰る、そんな生活が続いている。

 

| | コメント (0)

狐も来る犬小屋

Img_2291
   ご存じのように犬小屋は写真のように車庫の一端にあって、シャッターさえ開けておけば、年中外に出られ、犬に必要な情報も得られる。風雨の強い夜だけ閉めることにしているが、この車庫にしょっちゅう猫が出入りし、夜バドミントンの壁打ちを始めると、慌てて逃げていくから、ねぐらにもしているようだ。それで、犬の繋いだロープを長くした。犬の運動範囲を知っている猫が犬小屋から一番離れた場所を通って出入りしているのかと思ったからだが、入口の端まで届いて猫の侵入を防げるように長くしたのに、やはり猫はいる。もしかして目が悪いせいかもかもしれない。犬の目が白くなっているから白内障だろうと、盆に帰った妹が言っていた。昔から私に吠えるのは元々目も勘も良くはないのだろうと思っていたが、白内障なら猫の機敏さには及ばないだろうから、この犬に車庫の門番は無理だ。一昨日の夜もあんまり吠えるから猫が車庫内にいるのだろうと明かりを点けて探すと、隅に隠れて顔をこちらに向けているのは狐だった。先般、忍び足で近づいて子猫を上から捕まえたら指を噛まれ、こちらは本気でなくても相手は必死になるということが良く分かったので、ここは深追いせず、片方のシャッターも開放して逃げ易くして家に戻った。犬もそのうち吠えるのを止めた。場違いと分かった狐はそそくさと逃げたのだろう。Tは私が買ってくる犬の餌を、常に皿に山盛りにしている。それを狙って猫が来て、カラスが来て、狐まで来るのかもしれない。寛容であることは人を集める見本みたいなものだ。その逆が私かもしれない。

| | コメント (0)

2019年9月17日 (火)

Tの猫

  車庫をねぐらとしていた二羽の燕は猫の餌食となった。六月の終わり、最初一羽が来なくなり、車庫の隅に羽の残骸を見つけて猫の仕業と分かった。こういうことにならないよう、いつも夜は閉めておくシャッターも閉めないでおいたのだが、バラバラになった羽を箒で集めながら残念で仕方なかった。そして、もう一羽もいつもの場所にとまっていない夜が来て、やはり羽の残骸を見つけ、車庫にもう燕は来ることがなくなった。どうやって猫が捕ったか分からないが、猫に対する面白くない感情が生じた。
 家を少しずつ片づけて、その荷物を農作業所に運ぶと、乱雑だった農作業所が更に乱雑になった。意を決して片づけ始めると、あちこちの隅で十年、二十年と溜めた猫の糞に出くわす。去年犬の居る車庫を片づけた時も沢山の糞があったが、それを遥かに凌ぐ量であった。Tがここに餌を運び始めたきっかけは多数匹に増えた猫の中の、仲間外れにされた猫をここで飼い始めたことだそうだ。いずれも無償ではないが、犬の散歩や病院の送迎を頼んでいる手前もあったし、その頃は母が倒れ農業を止めて作業所も使わなくなってしまっていたので、父は看過してきたのであろう。私も特に支障はなかったが、この夏、また子猫が二匹と三匹とで生まれ、この作業所と納屋とで何匹いるのか見当もつかないぐらいになった。夜中の猫の喧嘩、さかりの時期の鳴き声、それらに反応して吠える犬などは大概夜中のことで、車庫の脇の物置にしまっておいた物に小便をかけられたり、時折家に入り込んで食べ物を漁って散らかすこともあったりして、だいぶ煩わしくなってきた。そんな時に、この大量の糞尿に出くわし、出来る限り片づけて、猫の居場所に適さないようにすることにした。父が木工をしていた時の大型の機械は動かしようもないが、捨てられる物は軽トラックに積んで処理場に運んだ。二階も同様にひどい状態だったので、ある程度片づけてから猫が上がれないよう階段に網を掛けた。完璧にすると自分が上がれないので、易々と上がれない程度で良い。ある程度片づけてから通販で買った顆粒の猫忌避剤を隅々に撒いたが、この上で猫が昼寝をしていたから利き目は期待しない。Tに犬の散歩をしてもらっている手前、全部の猫がいなくなることは望んでないが、せめて生活の基盤はここから移ってもらって、餌場としての活用だけというのが今の目標である。
 家で飼われ、内外を気ままに過ごす猫が大半なのに、更に追い打ちをかけるようで、済まない気もするが、私はやはり聖人にはなれない。達観も得られない。出来る限りかたずけておいて、なにかあった時に、出来るだけ迷惑をかけたくないという、世俗的な世間体が優先する。
 その後、掃除した作業所に新しい糞が見つかって、Tに話をして、作業所の戸を閉めることにした。父親の糞尿だけでも沢山なのに、猫の糞便までは手に負えない、なんてことまでは言わなかったが。
 作業所を閉めてから、休みの日に二階から観察していると、かTが餌を運んでくる午前10時頃と午後6時頃にはぞろぞろと猫が餌を求めてやってくる。餌場は作業所前と作業所脇の冬囲いの資材を積んだ小屋と昔牛を飼っていた納屋の三ヵ所で、二階の窓から観察できるのは作業所前だけだけれど、五匹か六匹やってくる。この五匹か六匹が他の二ヵ所の餌場を掛け持ちしているのか、それぞれの餌場にまた別にいるのか分からないが、この五、六匹の中に今年の夏生まれたはずの子猫は混じっていないから、その総数は容易に推し量れない。そして食事を終えるといずれかに消えていく。私の家の周りを定宿としているのは多分二匹。Kの家は私の家から田を隔てて百メートル以上も離れているが、Tの猫が三匹、作業所に住みついていると言っていた。食事の時間になると安久家まで行くらしいと。
 

| | コメント (0)

2019年9月 8日 (日)

荒沢岳 9/1

  銀山平に通じるシルバーラインが夕方6時から朝の6時まで通行止めになると思っていたので、コースタイムで9時間40分掛かる荒沢岳は前泊が条件だと思っていた。しかし、改めて調べてみると今の時期規制はなかったので、残雪期の日向倉山から何度も見た、急峻難路で知られるこの山に向かうことに。メンバーは蟻の塔渡り組3人。4時に関川を出て7時過ぎ登山開始。
P1100054
前半は美しいブナ林の中を2時間50分、只管歩く。振り返ると日向倉山が奥只見湖の前に立ち、奥にまだ行けない未丈ヶ岳が。
P1100057 
見晴らしの利く稜線に出ると前嵓が前方を塞ぐ。その後ろ、左上の三角が荒沢岳。
P9011590 
鎖と梯子の前半戦。
P9011592 
前半戦を終えて稜線に出ると、核心部の後半戦がようやく見える。登山道は岸壁を右から左に斜上してから直登する。
P9011611
P9011636
P9011654
前嵓からは単調な急登。
P9011675
頂上への主稜線に出たらあと20分。
P9011701

P9011695 
P9011724
曇りなので頂上の展望はさして期待してなかったが、雲の中に中ノ岳、越後駒がそれと分かり、裏越後三山の縦走路もはっきりと見えた。
 さて、ご存知の方も多いかと思うが、荒沢岳はある意味特別な山で、深田クラブが定めた二百名山に入っているのに、日本山岳会が決めた三百名山からは外され、代わりに奈良の山上ヶ岳が入っている。こんな扱いは荒沢岳だけで、もし私が荒沢岳なら大変面白くない気持ちになるだろう。山上ヶ岳も素直には喜べない、複雑な気持ちのはずだ。日本山岳会の選定委員会がどうしても山上ヶ岳を入れたかったなら、二百名山に追加する百で調整するのが普通のやり方のはずだ。光兎山のようにせめて三百に入っていてほしいと思っても、最初から入ってなければ異論を挟む余地はないからだ。憶測するに、委員の中にかねてから荒沢岳に特別に良くない感情を抱く者がいて、二百名山の栄誉を汚す機会があればと思っていた。それで三百から敢えて外した。あるいは、山岳会に山根会長みたいな人がいて、百が確定した後に地元奈良の山上ヶ岳が入っていないのはおかしいとごり押しした。百は今更変えられないので、二百の内の、無くなっても気づかれなさそうな、辺境で不人気な山をこっそり削って山上ヶ岳を入れた。そんな特別な山なんです。

| | コメント (0)

鳥海山に矢島口から登る②

鳥海荘、朝食は7時からだが、登山者には特別に早く朝食を出してくれて5時には出発できた。祓川まで30分、6時には登山口をスタート。
祓川ヒュッテ前に広がる竜ヶ原湿原を抜けると登りが始まる。まだ雪渓のある登山道だから花も多かった。
P8221357 
登山口の湿原から鳥海山の頂上が近くに見えているがコースタイムは3時間25分。それでも最短のコース。
P8221384 
前半いくつかの湿原を越えていく。ここはハクサンボウフウの群落。
P8221412 
アオノツガザクラも多かった。あとイワギキョウ、イワブクロ。
P8221457 
P8221501
七高山到着。新山には行かずここで鳥海荘で作ってもらった弁当を食べる。普通の山小屋だど弁当千円だが230円!4時30分に朝食を出してもらい230円のおにぎり弁当と、多分ここの社長のなんとかさんが鳥海山に毎年登る企画事業の主催者だから配慮してくれているのだと思う。
P8221488
帰りは康新道を通ってみた。登りとは別な景色が見られるのと、チョウカイフスマがずっと咲いていて、良い登山道だった。
P8221524
P8221507
管理人さんがいらしたので祓川ヒュッテの中を見せてもらった。一番混むのは春スキーのシーズンだそうだ。
P8221569



| | コメント (0)

2019年9月 5日 (木)

鳥海に矢島口から登る①勉強の日

  おそらく8月13日の夜のバドミントンで熱中症になったのだと思う。帰った夜から猛烈なだるさが始まり、翌日から頭痛とめまい、そして下痢が続いたので、大病になったかと思ったが、どうもYの言うとおり熱中症の後遺症らしかった。色々スマホで調べると症状が一致する。折悪くお盆なので妹も帰り母も戻って、仕事もあったので、そんな症状の中でもやることはやっていたのだが、頭がぼおっとしていたのか、車を車庫から出す際に後ろのバンパーをぶつけて余計な出費さえした。盆明けに長期の山行を予定していたが、体調が戻りつつはあっても無理はできないし、天気も悪かったのもあって中止にした。中止にはしても5日間も休みはとってある。仕事熱心なのが世間の評価なので、出ていっても怪しまれることはないけれども、と思案していると、Yが鳥海を今まで行ったことのないルートで登ってみたいと言い出した。天気が秋田、山形辺りだけは良かったのだ。数多い鳥海の登山道の中に以前から興味を持っていたのは秋田側から入る矢島口コース。しかし、初日から登る元気はまだないので、先ずは象潟、仁賀保の観光から始めた。
先ずは象潟の道の駅「ねむの丘」の丘で総菜を買って食べてお昼とする。それから元滝伏流水見学、その途中でツチアケビを発見。「ねむの丘」に戻って展望台から九十九島見学。また総菜を買って食べる。次に「かん満寺」見学。それから宿泊地の鳥海荘に向かう途中で、仁賀保高原の土田牧場に寄る。
P8211309 
スーパーだと二切れで500円くらいする銀ダラの煮つけが、その何倍か入って400円弱だったのを、僕は彼女に少しも分けずに2パック食べた。
P8211341 
数ある鳥海山麓の滝の中でも最近とみに有名になり人気の元滝。下はその途中で見たツチアケビ。道から離れていたが、色、形状が独特なのでだいぶ前から目に入り、すぐにツチアケビだと分かった。しかし、人生まだ二回目の邂逅。もし三回目があれば思い切って触ってみよう。
P8211323
象潟の九十九島。
P8211347
鳥海山の山体崩壊と地震による隆起でよって103の島が田の中に浮かぶ。国の天然記念物。
P8211309
また同じ場所で総菜を食べる。ここには写ってないが、西瓜も食べた。今日の泊りの宿、廉価なのでそうご馳走はないと思って食べていたのだが、鳥海荘の夕食は大変なご馳走で、全部食べ切らずもったいないことをした。
P8211350
東北の山行では必ず寄る象潟の道の駅。かん満寺も元滝も九十九島もツチアケビも、土田牧場も銀ダラの煮つけも知らず、ただトイレに寄るだけだったのです。





| | コメント (0)

2019年9月 2日 (月)

荒川三山、赤石岳8/4-8④-⑤

四日目の行程は荒川小屋から赤石岳に登り、椹島に下りる。昨日ゆっくりしたので今日は余裕がない。コースタイムが9時間10分、小屋を6時に出て椹島ロッジに遅くとも4時に着くとすれば行動時間は10時間ちょうど。休憩昼食時間を考えればカツカツの時間。
 P1090197
小屋を出て赤石岳に向かう。
P1090224
その登りで振り返る。昨日越えてきた荒川三山と、その麓に一晩お世話になった荒川小屋が小さく見える。
P8070981
小赤石に続く稜線に出る。小赤石の後ろに赤石が覗く。
P8071040
小赤石岳を越えて赤石に向かう。
P8071059
赤石岳から荒川三山を眺める。
P1090319
富士見平で。荒川三山を背景に(上)。小赤石、赤石(下)
P1090322
休憩、昼食時間も取り、赤石避難小屋で油を売ったりもしたが、同行者の健脚のお陰で四時前に無事ロッジに着いた。
健脚といえども、二人の顔には達成感以上に疲労の色があるのを、そのむくみが教えてくれた。
 P8071109
最終日、ロッジを六時のバスで出て、やっぱり1時間揺すぶられて畑薙の臨時駐車場に着く。我々が出発した四日前と同様、バス待ちの長い列ができていた。
P8081123
南アルプス椹島、次回来る時があれば、常連のように慣れた様子でバスに乗ろう。そしてどんなに揺すぶられても苦笑いもせず。

 

 

 

| | コメント (0)

« 2019年8月 | トップページ | 2019年10月 »