初登りは五頭山
例年にないカメムシの大発生は巷間では大雪の前触れだという話だったが、目は逆に出て未曽有の少雪、例年の一月半ばなら毎朝4時半か遅くても5時には除雪を始めていたのに、今家の周りにも屋根にも1ミリの雪もない。ただ天気はやはり陰鬱な空模様、雪が降らないだけで、雨が続いて5日の初登りは12日に延期になり、参加できたのは綿野舞さんと私だけ。村杉の駐車場にも雪はなく、三連休の中日、午前中の晴れが保証されていたので、続々と車が集まっていた。少雪とはいえ、さすがに山だから、五合目辺りから雪道となったが、その頃我々を颯爽と追い越していった女性がいた。一休みした時、さっきの女性はかなりのベテランだと綿野舞さんに私は言った。五頭といえども冬の山に単独で登ってきたからそう言うのではなく、ストックを握った手にしていた手袋が「防寒テムレス」だったからだ。この手袋、鮮やかな青色で人目を引くが、本来は山用の物でなく、ショウワグローブという会社が冬の作業用に作ったものだ。だから廉価で且つどこにでも売っている。厚手のゴム手袋だから完全防水、内側起毛で防寒性があり、蒸れもない。これが以前から山屋の間で地道に普及している、そうなのだ。そんなことを綿野舞さんに登りの途中で吹聴して、吹聴したことも忘れて三角点本峰に到着した時に目にしたのは、雪にささった三組のストックに被さった三組の「防寒テムレス」だった。その持ち主は前一ノ峰で飯豊を眺めている時に後ろを賑やかに通っていった三人組の女性達、その中の一人はしゃがみこんだままアイゼンを付けるのに四苦八苦している風で、初心者のようだ。私はなにか興覚めの思いで、さっきの自分のしたり顔を恥ずかしく思った。
晩秋の山のように登り始めても雪はない。
雪道にはなってもいつもの景色ではない。
三ノ峰に着く。
一ノ峰
前一ノ峰 奥の白嶺は飯豊連峰
前一ノ峰から三角点のある本峰へ向かう。
その本峰で見たのがこの光景。三組のストックに三組のテムレス。真ん中の女性は終始アイゼン装着に四苦八苦していた。話の内容からリーダーの女性さえ山屋ではないと推察できた。
本峰に行く前に寄った二ノ峰に戻って昼食。今年一年、会の山行に幸多きことを祈った。そして個人的には知ったかぶりをしないことと。
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