五頭山の二回目
五頭山塊の最高峰菱ヶ岳と主峰五頭の間は、夏だとずっと低灌木の中を通るので、眺望はなく徒に暑いだけで魅力はないのだけれど、冬は視界を遮っていた藪が雪の下に埋もれて一級の展望稜線になる。真冬のラッセルはひと苦労も二苦労もしないといけないが、雪が固まる残雪期になればつぼ足で快適な稜線歩きが楽しめる。まだ一月、いつもなら深い雪の中の山歩きだが、今年は異常な少雪、しかも雨も降り、この数日は晴天、放射冷却の寒い朝が続いたので、雪もしまっているのではないか。そんな推測をして今年二度目の五頭に向かった。
前回12日より一時間早く関川を出て7時半には駐車場を出発、急坂を登る我々に朝日があたって一枚二枚と脱ぐ。
三ノ峰まで二時間余、そして一ノ峰に。阿賀野川と弥彦、角田山まで広がる蒲原平野、そして海と佐渡とが眼下に。
前一ノ峰から飯豊の白嶺を望む。ひとりだけ振り向く構図は青木繁の「海の幸」を思い出させる。
中央の一番奥が菱ヶ岳。そこまで尾根伝いに進むが、いつもは菱からこちらに歩いた。大体2時間から2時間半で歩いているが、登りになるのでそれ以上にかかるかも。
前一ノ峰を下って菱への縦走路に向かう。正面の三角の山が五頭山三角点のある本峰だが、今日はその手前の分岐から右に曲がる。
しばらくアップダウンの尾根沿いに歩くと今までいた前一ノ峰が遠ざかる。左の白いピークがそれで、真ん中は本峰、その真ん中の尾根が縦走路となってここに繋がり、これから菱まで、そして南端の宝珠山まで続いている。
沢山の小ピークを登り下りしながら、振り返りつつ尾根を進む。左の白いピーク、前一ノ峰は殊更に白く判別でき、右には大日岳から杁差岳までの白い山並みと二王子岳。
途中で昼食、1時30分、菱へとまた進む。奥のピークが菱。
二時過ぎ菱ヶ岳到着。黒い雲が出てきていたので後はただ下るだけ。途中の杉鼻の冬道は雪が少ないために却って下りにくい。
晩秋のような山道を下って駐車場に着いたのは4時半。残っていた車は我々を入れて三台。今日晴天の五頭山塊山行が夢のように過ぎた証拠である。
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先程、ある中3女子とのメールのやり取りを転送した。昨年、預かった受験生だ。帰国子女である彼女は、恵まれた環境から
何らかの事情で、この事情のある生徒がいる、この場所にやって来た。一ヶ月前、志望校決定の際、担任の志望校変更の助言と私立にいけない事情を背負いながら、勝負に出ると決意した。試験直後の落ち込む彼女に、和光市4・5畳半のアパートで、あの日、缶詰の涙を経験した男の話は彼女を奮い立たせた。米国の新聞記者である父親は、早稲田大学の一番難しい
学部出身だという。そして今日、芥川龍之介の後輩となるべき
高校に合格した。貴君と僕だけが知る、感性の贅沢を共有して。僕はいつも、誰かにこの話をすると、男泣きをしてしまうのだ。僕は、何とか、死ぬまでに自身でこの涙を流したいと思っている。だから、みっともない男がこの涙を流せたら貴君も、泣いてくれ。
投稿: 君の知らない3月がまた来る | 2020年3月 3日 (火) 21時06分