雪の残る山に入ってマンサクを見れば春はくるらし、と思う。その年初めてのハクサンコザクラを見つければ、確かに今年も夏が来て、と思うのである。季節と場所を限って咲く花を見ることは生きている証、過ぎていく時間の証。悔いと諦めとわずかな希望の証。
春先に咲く、小さな白い五弁花はミミナグサかハコベ。ただハコベは一枚の花弁が根元まで裂けているので、一見10枚に見える。ミミナグサの仲間にノミノツヅリがあって、これは花弁に裂け目がない。また、ハコベと似ているのがノミノフスマ、これは花弁がガクより長い。サワハコベはハコベは切れ込みが浅く、10枚には見えないが、ハコベの仲間。