東京にいて長野や山梨の山に行っていた頃の写真には花がほとんど写っていない。人が中心、花は脇役で、北岳に沢登りで入った時のミヤマダイコンソウ、白馬での幕営地の周りに群生するチングルマなど数えるほどしかなく、当時は名も知らなかったのだと思う。フィルムだから枚数が限られていたということもあるだろうが、やはり興味が薄かったのだろう。初めて飯豊本山で幕営した何年か前、水場で「この花、なんていう花ですかね」と「さあ、あちこち沢山ありますけどね」という会話を聞いた。飯豊に限らず湿った場所ならどこにでもある高山植物なのにイワイチョウも知らないのかとちょっとあきれたことがあったけど、二十年前の私もそうだったことを思えば興味の対象は変わるものだ思う。